研究内容紹介

脳磁図から言語処理の神経ネットーワークを観る

脳磁図は、ニューロンが伝達する電気信号によって引き起こされる微小な磁場を計測してマップを作成し、神経活動のタイミングとロケーションを特定できる最先端技術です。

脳磁図計測に使用される脳磁計は、超伝導を利用して微小な磁場を検知するSQIDという端子が使用されます。BLITでは脳磁図計測実験を実施するとともに、開発メーカーと協力して新型脳磁計のテストにも参加しています。

*このページで紹介している研究は、日本学術振興会科学研究費挑戦的研究(萌芽)「なぜ言語には文法が必要なのか-脳磁図を用いた予測処理における神経律動の分析(課題番号・18K18515)」研究代表者・酒井弘(早稲田大学)によって実施されています。

脳波から言語処理のアルゴリズムを導く

頭皮上に設置した電極から、言語を理解・産出している間の神経活動を反映する電位変化を計測します。脳波計測用の電極は、実験参加者が被ったキャップに空けた穴から特別な糊で貼り付けているだけなので、どなたでも安全に実験に参加できます。

脳波は時間的追随性が高いので、時系列に沿って変動する神経活動を捉えるのに適しています。BLITでは年間100件を超える脳波計測実験を実施し、事象関連電位や神経律動などの特徴を抽出し、言語処理のアルゴリズムを導く研究を実施しています。

*このページで紹介している研究は、日本学術振興会科学研究費基盤研究(A)「 脳はどのように文法を生み出すのか―東アジア言語比較認知神経科学からの探求―(課題番号・15H01881)」研究代表者・酒井弘(早稲田大学)によって実施されています。

脳表・脳深部電極脳波から記憶と言語の相互作用を探る

頭皮上電極から計測する脳波には、ノイズが多いこと、電位変化の発生源の特定が難しいことなどの欠点があります。それに対して、疾病治療を目的として頭蓋内の脳の硬膜上に設置された電極や、脳深部に挿入された電極から脳波を計測すると、ノイズの影響を受けることなく、発生源を直接的に特定できる貴重なデータが得られます。

BLITでは医療機関との共同研究によって、脳表・脳深部電極脳波の計測を実施し、BMI(Brain Machine Interface)などの応用に繋げることを目指しています。

視線を通して脳と世界の結びつきを探る

脳を探るには、脳だけを調べるのでは不十分であり、脳と外界がどのように結びついているかを知ることが不可欠です。眼は脳に直結された感覚器であり、脳活動の多くの部分が視覚情報の処理と眼球運動のコントロールに使用されていることから、まさに「目は心(脳)の窓」であると言えます。

BLITではこのような特性を活かして、視線計を使用して言語を理解・産出する際の視線を計測することで「脳と世界がどの様に結び付けられているか」を踏まえた研究を実施しています。

*このページで紹介している研究は、日本学術振興会科学研究費基盤研究(A)「 脳はどのように文法を生み出すのか―東アジア言語比較認知神経科学からの探求―(課題番号・15H01881)」研究代表者・酒井弘(早稲田大学)によって実施されています。